犬のしつけは、その犬を飼い始めた日から始まっています。
でも、何からしつけをすれば効果的でしょう?7匹のわんこを育ててきた我が家の経験から、しつけをしていく順番のイメージをまとめてみました。

目次
●犬のしつけのスタート時期
生後数ヵ月で子犬で飼った場合にしても、成犬になってから愛犬を迎えた場合でも、犬のしつけは、飼ったその日から始まっています。
子犬の場合は、生後13週間を超えると、好奇心よりも警戒心が勝り始め、また、生後1年で精神的に成熟していくと言われています。
そのため、できるだけ早く、いろいろな環境に慣れさせて社会化を進めると同時に、しつけをしていくのがよいでしょう。
もちろん成犬になってからも、しつけと社会化ができない、というわけではないと思いますが、精神的に未熟な子犬の方が、警戒心を解きやすく、素直にいろいろ教えたことを覚えてくれるでしょう。
●しつけの順番
しつけの順番は必ずしも決まっているわけではありませんが、いきなり難しいことを要求してもその効果は薄いと考えれます。
以下に、ざっと、目安として時系列をまとめてみました。
モデルとして、生後3ヵ月で自宅に愛犬を迎え入れた場合を想定しています。

自宅に迎え入れる(生後3ヵ月)
通常、2回目のワクチンの接種が終わってから自宅に迎え入れるケースが多いですので、必然的に生後3ヵ月目となるかと思います。
自宅に迎え入れたら、まず
・名前をつけて呼ぶ。目が合えば褒める、でアイコンタクトを定着させる
・トイレのしつけを始める
からスタートです。
アイコンタクトは最初の数日、長くても1週間でできるようになると思います。
トイレは2週目で少しづつトイレシートでできる回数が増えて覚え始めるでしょうか。
もちろん、もっと時間のかかる場合もありますが、2週間過ぎれば、自宅という環境に慣れてくるのではないでしょうか。
→参考記事:犬のトイレのしつけ方法 2つの基本的なこと及び注意点
この最初の2週間は、上記2つのしつけを実施しながら
自宅に慣れる、飼い主さんに慣れる、飼い主さんのことを信用し始める
ということが一番大事なことだと思います。
自宅に迎え入れ2週間経過後
自宅に慣れた様子であれば、抱っこしてどんどん外出しましょう。
短時間でよいので、毎日回数を重ねることです。
まだ3回目のワクチンが済んでいませんので、他の犬との接触や道端に触れる、といったことは避けたほうがよいのですが、社会化を促進するためにも、抱っこでの外出、ドライブなど、どんどん連れ出してあげてください。
→参考記事:犬のしつけの基本3 『社会化』 ~しつけのもう1つの柱~
一度健康診断を兼ねて係りつけの獣医さんに挨拶に行くのもよい社会化の機会にもなります。
獣医さんに行く、ということで、
車に乗る、ケージや抱っこで運ばれる、他人や他の犬が比較的近くで見れる、という機会になります。
もちろん、獣医さんという他人に触られるという体験も貴重なはずです。
自宅では、課題行動として、おすわり、待て、おいでの順で(できればお手やふせ、も合わせて)覚えさせるのがよいと思います。
→参考記事:犬のしつけ 『おすわり』ができるようになる簡単な方法
犬のしつけ 『待て』ができるようになる簡単な方法
犬のしつけ 『おいで』ができるようになる簡単な方法
課題行動をこなすことで、飼い主さんとのコミュニケーションが生まれ、主従関係=信頼関係 が構築・強化されていきます。
→参考記事:犬のしつけの基本1 主従関係構築の7つの心得
犬のしつけの基本 主従関係としつけ、社会化まとめ
課題行動ではありませんが、この時期、できるだけ飼い主さんが愛犬に触れてあげて、いろいろなところを触っても嫌がることのないように慣れさせることも大事です。
耳やあご・鼻先、お腹、しっぽなど、犬が触られるのを嫌なところを触わらせてくれるように育てましょう。
ハウスのしつけは愛犬の安心できる居場所をつくるとともに、お留守番ができるようになるのに必要なしつけです。
→参考記事:犬のしつけ 『ハウス』を簡単にできるようになる方法
まだ外出の散歩はできませんが、室内でリードをつけて、リーダーウォークの練習をしていくのもよいと思います。
→参考記事:犬のしつけ 楽しく散歩をするしつけとルール
また、愛犬と遊ぶときに甘噛みをしてくるようですと、絶対に直してしまうことが大切だと思います。
→参考記事:犬のしつけ 子犬の噛みつきを直そう
子犬の間は甘噛みですが、成長してしまうと本格的に噛む、という行為になってしまいます。
噛むことは絶対ダメな行為だと、しつけることです。
こうして書くと、迎え入れて1ヵ月という時期は、大変貴重な忙しい時期です。
この時期に飼い主さんが多忙で、
全然相手をしてやれない、ケージに入れて半日以上放置していた、
ということでは、大事なトイレのしつけも覚えないですし、
社会化もできずに、警戒心の強い、後々、激しく吠える・噛むなどの問題行動を起こしやすくなります。
ですので、子犬を迎え入れる時期は、飼い主さん自身が十分時間の取れる時期にすることが必要だと思います。
どうしても難しい場合は、最初からドッグトレーナーさんへのしつけの委託を考えるほうがよいでしょう。
生後4ヵ月経過後
3回目のワクチン接種が終わり、本格的に外に出れるようになります。
外で散歩や、もしできるならばパピー教室に参加して、他の犬とのふれあいをさせるのが社会化にとって効果的です。
いきなりドッグランへは連れていかず、そのまえに
散歩がきちんと飼い主さんの言うことを聞きながらできるようになり、
パピー教室など他の犬に触れ合うことに慣れてからのほうがよいかと思います。
散歩はリーダーウォークがきちんとできることで、飼い主さんとの主従関係がより強くなると言われています。
→参考記事:犬のしつけで服従訓練って何?どんな効果があるの?
また、外界の刺激(他人や他の犬が見える、近づいてくる)があった場合でも、興奮せず、飼い主さんの言うことを聞ける犬を育てる訓練にもなります。
お留守番も徐々に長くできるようにしていきましょう。
→参考記事:犬のしつけ 留守番ができるわんこにしよう!
もし、吠える、噛むといった問題行動が出る場合は、できるだけ早く矯正したほうがいいでしょう。
→参考記事:犬の無駄吠えを直すしつけ 大きな2つの原因と対策
犬のしつけ 子犬の噛みつきを直そう
しかし、ここまでで、様々な課題行動のしつけや社会化、リーダーウォークでの散歩ができるように大事に育ててきた愛犬であれば、少なくとも人に噛みつく、という問題行動は、非常にマレなのではないかと思います。

生後5ヵ月以降
ドッグランや旅行、長距離ドライブなど、愛犬の行動範囲を広げながら、楽しいドッグライフを送ってください。
●個体差に応じて根気よく・・
ここまででモデルケースとしてしつけの時期と順番を解説してきましたが、必ずしもこの通りいかないこともあるかと思います。
例えば、自宅に迎え入れて2週間経過すると自宅という環境にも慣れてくるはずなので、外へ抱っこ散歩や並行して課題行動のしつけをしていきましょう、と説明しましたが、警戒心の強い犬の場合、2週間でも自宅環境に慣れないこともあります。
我が家も、5匹目に向け入れたヨーキーの男の子は、生後3ヵ月で自宅に迎え入れましたが、警戒心が強く、2週間経過後もケージの中にこもって出てこようとしませんでした。我々のことをそれだけ警戒していたわけです。このような状態では、外に抱っこして連れ出すことは、より警戒心を増長させるだけでしょう。
この子の場合、我々家族に慣れるのに結局1ヵ月近くかかりました。その分は社会化も遅れることとなりましたが、我が家に慣れてからは先住犬たちと一緒に行動することで、すぐにいろいろと覚えてくれました。

仮に成犬で迎えた場合も、基本的なしつけの順番はあまり子犬の場合と変わらないと思います。
警戒心を解くことや飼い主としての信頼を得るのに時間はかかると思いますが、
大事なのは、その子の性格やモノ覚えの状態に応じて、根気よく毎日正しく接してあげる覚悟だと思います。
●まとめ
しつけの時期・順番について簡単にまとめてみました。
『しつけは愛犬の命を守るためのもの』
可愛いだけで飼ってしまわないよう、計画的に、時にはお金もかけて愛犬を守ってあげましょう。
それが飼い主さんと愛犬にとって一番幸せなことですから。



