子犬を初めて我が家に迎えたとき、かわいいわが子を目の前に心躍りながらも、
『しつけって、どこまで必要なの?』
『一体何から始めたらいいの?』
と不安なこともいっぱいですよね。
そんな方のために、7匹の愛犬たちと同時に過ごしてきた私ユウジがしつけの基本理論をまとめてみました。知っておけば、きっと迷ったときに立ち返る原点にすることができますよ。

目次
しつけの前の事前知識として
記事 ”犬のしつけの基本1” では、しつけのベースとなる主従関係についてお話しました。
ぜひ本記事と合わせて読んでみてください。
犬のしつけの基本 しつけが必要な理由
犬のしつけがなぜ必要か?しつけをすることでいろいろなメリットが考えられますが、何よりも次のことが第1の目的です。
『しつけは愛犬の命を守るためのもの』
例えば・・・
- 愛犬が人を噛んで怪我をさせてしまう(飼い主に重過失傷害罪が課せられた事例あり)
- 愛犬の無駄吠えによって、近所トラブルとなる(裁判所は飼い主がしつけを怠ったとして慰謝料を払わせる判決を下した事例あり)
- 飼い主さんが目を離したすきに愛犬が車に轢かれてしまう
- 不幸にして飼えなくなったとき、しつけができていない子は里親が見つからない(最悪、殺処分になることも)
- 災害による避難時、しつけのできていない子は避難所に一緒に受け付けてもらえない
犬はあなたにとって大事な家族かもしれませんが、社会的には所有物としてみなされています。
大事な愛犬が不当な扱いを受けて、命を失うという最悪の事態を招かないためにも最低限のしつけは必要なのです。
また、愛犬に愛情を注ぐためにも飼い主さんと愛犬との間のコミュニケーションは必要です。
しつけはコミュニケーションのツールとして、愛犬との絆を深めるためにも欠かせないものと言えるでしょう。
犬のしつけの基本 しつけの開始時期と内容
では、犬のしつけとは具体的にどのようなものがあるでしょうか?
子犬の場合のしつけの時期と合わせて確認してみましょう。
生後約12週間まで
特に飼い主さんがしつけをする期間ではないかもしれません。
この期間はブリーダーさんやペットショップで過ごすことがほとんどだからです。しかし、ここでの過ごし方は、その子の社会化に大きな影響を与えると言われています。
社会化というのは、犬の過ごす全ての周囲環境(家や散歩などの外出を含めて、過ごす環境の景色・物音・匂い、家族以外の他人、他の犬との遭遇など)に必要以上に警戒せずに、適切に適応できることを言います。
参考記事:犬のしつけの基本3 『社会化』 ~しつけのもう1つの柱~
この記事では社会化の効果的な方法について書いてますので参考にしてください。
社会化に具体的に必要なことは、他の犬たちとの触れ合いや人間との触れ合いの機会を与えて慣れさせることです。
とはいえ、ブリーダーさんやペットショップで過ごしてきた子は、何らかの理由で隔離される場合を除いて、他の犬や人に触れない、ということはないでしょう。
でも例えば、知り合いのところで1匹だけ生まれた子を早くに貰い受けるという場合だと、家族以外人や他の犬にほとんど触れないまま過ごすことになります。
そんな場合は、積極的に慣れさせる環境を作ってあげることが必要ですね。
生後12週間以降
ここから徐々にしつけの開始です。
実際ペットショップから家に連れて返ってきた瞬間からしつけは始まっていると言っていいでしょう。しつけは、課題行動の習得と問題行動の矯正とに分けられます。
また、ワクチンの接種時期が過ぎれば、できるだけ早く散歩に出たり、家族以外の他人やほかの犬のいる場所へ連れ出しましょう。
いろいろな環境に慣れることで、社会化していく、ということは非常に大切です。
家族以外を知らずに育った、社会化できていない犬は、必要以上に環境の変化を怖がり、問題行動を起こす可能性が高まるんです。
課題行動の種類
以下の課題を訓練により習得することで、飼い主と愛犬との主従関係の絆を強化することができます。
また、こうした訓練を日頃から繰り返すことで、問題行動を起こす前のブレーキの役目も果たします。
- トイレのしつけ:決まったところ(定められたペットシートの上)でトイレをする
- ハウスのしつけ:『ハウス』のかけ声でケージに自主的に入る
- 留守番のしつけ:留守番時、問題行動を起こさずに待てる
- 食事のしつけ:飼い主の許可が出るまで目の前のご飯を待てる
- 散歩のしつけ:散歩中、犬主導でリードを引っ張らず、飼い主について歩く
- アイコンタクト:名前を呼ばれると飼い主と目を合わせる
- おいで:『おいで』のかけ声で、離れたところにいても飼い主のところに来る。応用として『ついて』ということのものもある。
- おすわり:『おすわり』のかけ声で、後ろ足をおろした状態をつくる
- ふせ:『ふせ』のかけ声で、いわゆるスフィンクスにような形でお腹を地面につける。
- 待て:『待て』のかけ声で、動作を停止する。一般的には『おすわり』『ふせ』とセットで使うことが多い。
- プレイス:決まった場所(座布団や一段高いペット用ベッドなど)で待機する
- リーダーウォーク:散歩中に、リードを自ら引っ張らず、飼い主さんの横について歩ける
- ホールドスチル:飼い主の膝の上で、仰向けに寝転んで、お口周りを触らせてくれるなど飼い主のなすがままに従う
課題行動は上記のほかにも、決まったエリア以外に入らない、門から出ない、など必要に応じて飼い主さんが加えればよいでしょう。
問題行動の矯正
人間にとって望ましくない行動を矯正することは、人の社会で犬が生きていくために必要なことです。
問題行動には以下のようなものがあります。
- 無駄吠えをする
- 唸る
- 噛みつく
- 飛びつく
- 散歩中リードを引っ張りまくる
- 拾い食いする
- 食糞する
- トイレを決まった場所でしない
- モノを破壊する
これらの問題行動は、理由なしにするものではなく、必ず原因があります。その原因を折り除いてやることで問題行動を矯正していくわけですが、飼い主に原因がある場合が多いのです。
また、課題行動を習得の訓練によって飼い主さんと愛犬との間に絆・信頼関係が強化されれば、このような問題行動を起こすケースというのは、ずいぶん減るでしょう。
犬のしつけの基本1 主従関係を構築する7つの心得 でも書きましたが、
主従関係=信頼関係
は、しつけと表裏一体なのです。
犬のしつけはどこまで必要か
しつけは、何も軍隊のような関係を築きましょう、というものではありません。
また、上記にあげた課題行動のすべてができないとダメ、でもありません。ただ、これらの課題行動を習得することで、主従関係=信頼関係 が強化され、絆が深まることは事実だと思います。
したがって、しつけを始めるときに、
- 課題行動のどれを教えていくか
- 課題行動の習得型はどのレベルまで求めるか
- 課題行動のかけ声は、どれを使うか
ということを、事前にきちんと家族で決めておくことがよいでしょう。
かけ声が人によってばらばら、といった一貫性をもたないしつけは、飼い主さんとの信頼関係を損ない、しつけそのものが困難になる可能性がありますので注意しましょう。
おすすめの行動訓練は・・・
ただ、私が考える、できるだけ習得した方がよい基本的な行動訓練は、
『待て』と『リーダーウォーク』です。また、『ホールドスチル』も取り入れることをお勧めします。
これらは、飼い主さんと愛犬との主従関係を強化し、また、愛犬がストレスに強く我慢強く育つために、最適な基本訓練だと思うからです。
参考記事:ガウガウ犬との散歩も卒業! リーダーウォークのしつけのコツ
参考記事:犬のしつけ 主従関係の強化にホールドスチルをやってみよう
愛犬と楽しい時間を過ごすために

そういう我が家ですが、1匹、2匹と・・と7匹までわんこ達が増えていくと同時に、課題行動の習得レベルやルールも変わってきたように思います。
例えば、1匹目~2匹目のころは、留守番はきちんとハウスでする、と決まっていましたが、3匹、4匹と増えたころには、家の中をほとんどフリーでも待てるようになりました。寝る時も、初期はハウスで寝ていましたが、今は人も犬も一緒に雑魚寝です。
それが出来るのも、トイレは決まった場所でする、飼い主の命令があるまで大人しく待てる、電気コードをかじるなどの問題行動を起こさないなど、人との生活のルールを守れるからです。ときには失敗もありますがね(笑)
時には愛犬の命を守ることにも繋がるしつけ。
どこまでするかは飼い主さん次第ですが、決しておろそかにせず、愛犬と楽しい人生を送りましょう。




