犬のしつけで難しいのは、実は叱り方だと思います。
犬は褒めて伸ばす・・・という基本方針が昨今のしつけの解説でよく言われてますが、
では、𠮟る、ということは、どういうときに、どうすればよいのでしょうか?

目次
●犬のしつけで『𠮟る』は必要?
しつけの基本方針は『褒める』だと言われています。
褒める、とは撫でる、声をあげて喜びを伝える、おやつをあげる、おもちゃをあげる・・・
などのご褒美ですね。
トイレのしつけでは、正しい場所で排泄できれば褒める
おすわりのしつけでは、おすわりしてくれれば褒める
お手のしつけでも・・・褒める
・・・
一方、トイレを失敗した時、吠えてやかましい時、噛んだ時・・・それは叱る必要はないのでしょうか?
●その子の性格を見極めて効果的に𠮟る
しつけの基本方針は、
して欲しい行動をしてくれれば褒める、できなければ無視する
です。して欲しい行動(課題行動)の場合、おすわり、お手、ふせ・・などの場合は、それでよいでしょう。
問題は、して欲しくない行動(問題行動)をした場合です。これも、無視する、ということでよいのでしょうか?
例えば、噛みつく場合、噛まなければ褒める、噛めば無視する・・となります。
噛み続けても無視する?
なかなか根性が必要ですね。
小型犬の場合ならともかく、大型犬の場合は命がけです。
噛むという行為は、それが甘噛みであっても、あるいはその段階だからこそ、
早期に矯正していくべき問題行動です。
確かに、遊んでいた場合、甘噛みされたら、遊びをやめて無視し続ける・・・
を繰り返すことで甘噛みしなくなる、というしつけもありです。
その子が遊びが大好きで、無視される、ということが耐え難い苦痛、と感じてくれる子であれば、
しつけの効果が出るでしょう。
ただ、この方法だけですと、効果のある子もいる一方、どうしても治らないという場合もあるのです。
それは、その子の感受性だったり性格であったり、に大きく依存するのでしょう。
また、無視する、ということの問題点は、その子の感受性や性格による効果の有無だけではありません。
犬は、自分のした行動を1.3秒後には忘れる、と言われています。
無視する、というおしおきは、結局なぜ無視されているのか犬が理解できない、というリスクがあるのです。
以上から、無視する、だけのおしおきだけでは、一旦定着してしまった問題行動を矯正するのは難しいと考えます。
すなわち『𠮟る』は必要な場合が多いのです。
●犬のしつけで効果的な『𠮟る』とは?
『𠮟る』は、犬が問題行動を起こしたら、瞬時に発動することが必要です。
『ダメ』『こら』『いけない』などの声かけを決めて発動しましょう。
声はやや大きめ、低めがいいです。
叩く、などの暴力はNGです。
・問題行動を起こしたら、すぐに𠮟る
・𠮟ったら、その後、無視する、あるいは、ケージなどに閉じ込めておしおきをする
を繰り返すことで、叱られる=嫌なこと と学習していきます。
『𠮟る』の効果は、犬自身がなぜ(自分のどの行動に対して)飼い主に叱られたのかを理解させ、
叱られる=嫌なこと だと定着させ、問題行動を起こさなくなることです。
●『𠮟る』を覚えさせるタイミング
子犬の場合、『叱られる』=嫌なこと を覚えこませる絶好のチャンスがトイレのしつけだと思います。
正しい場所でトイレができたら褒めてケージから出して遊んであげる、
失敗したら『𠮟る』をしてからケージに閉じこめたままにする。
ケージの外でトイレを失敗したら『𠮟る』をしてからケージの中に閉じ込める
これらを子犬が家庭にやってきた瞬間からしつけをスタートさせましょう。
→参考記事:犬のトイレのしつけ方法 2つの基本的なこと及び注意点
●𠮟るときの注意点
暴力は使わない
暴力は恐怖を与え、飼い主に対する信頼を失います。
ただし、子犬のときから『𠮟る』の声かけ=嫌なこと
としつけがされずに大きくなってしまった犬の場合、
声だけで𠮟る、のではすでに定着してしまった問題行動を改善するのは難しい場合もあるでしょう。
この場合、犬の鼻っ面を叩く、お尻を叩く、と𠮟るの声かけを併用する方法でうまくいく時もありますが、
逆効果になってしまう危険もあるのです。もちろん、たまたまうまくいく子もいます。
ただ、問題行動を起こし易い犬の場合、飼い主さんとの主従関係=信頼関係も弱く、
叩くことで、ますます飼い主を信頼しなくなってしまう可能性は高いでしょう。
そうなると手がつけられなくなるのです。
しかし、問題行動を起こしがちな犬は、すぐに興奮状態になりますので、
まずショックを与えてまず興奮を解く必要があるのも事実です。
この場合、𠮟る声かけと同時に犬の嫌がる大きな音を出す、ことで、
ショックを与えて我に返らせる、といった工夫が必要だと思います。
大きな音としては、ドラをたたいてびっくりさせる、なんて方法も効果的だと聞いたことがあります。
𠮟るタイミングを逃さない
1.3秒で犬は行動を忘れると言われています。
タイミングが遅れた場合は、なぜ叱られているのかわからず、単にシュンとなって行為をそのときだけやめるか、
叱る行為で犬が混乱し、飼い主に対する信頼を失いかねません。
𠮟る声は低く、大き目で
高い声だと、犬は褒められていると勘違いしやすいものです。
犬の行動をやめさせショックを与える程度に大き目で低い声がいいでしょう。
大きな音を与えるのも効果的です。
𠮟る声かけは、一貫して同じものを
家族で決めておきましょう。
人によって『ダメ』とか『いけない』とかいろいろあるのは学習効果が低下してしまいます。
名前を呼んで叱らない
名前を呼んで叱ると、名前を呼んでも来てくれない、アイコンタクトをしてくれなくなる、
など問題が出ることがあります。
主従関係=信頼関係 ができた後でしたら、あまり関係かないかもですがね。
●我が家の場合
トイレのしつけをする頃から、粗相をしたときは『あ!』と『ダメ!』を併用しています。
食いしん坊のミニュチュアシュナウザーの女の子(2歳)は、ときどき衣服をかみかみしたり、外から葉っぱを見つけてくちゃくちゃとすることがありましたが、『あ!』というと、ポロっと口から落として逃げていってしまう、お茶目な子です。

●まとめ
『𠮟る』は子犬のころから言葉を固定していないと、叱られていることを理解してくれないかもしれません。
声かけの言葉を統一して、叱られていることを理解できるように育てましょう。
そして、問題行動が出たとき
『なぜ叱られているのか』
をタイミングよく理解させるのに使いましょう。



