吠える、噛みつく、飛びつくなど、犬の攻撃的な問題行動は、飼い主さんの犬への接し方に問題があるのでしょうか?
もしかしたら、そうではないのかも・・・。
ここでは、主従関係、課題行動訓練と並ぶ、犬を飼う上で大事な犬の『社会化』についてまとめてみました。

目次
●しつけの基本 重要事項
しつけの基本としまして、このブログでも以下の記事を書きました。
・主従関係=信頼関係 が構築されていること
→参考記事:犬のしつけの基本1 主従関係構築の7つの心得
・課題行動を訓練する(おすわり、ふせ、待てなど)
・そして問題行動があれば矯正する(無駄吠え、噛みつきの防止)
→参考記事:犬のしつけの基本2 しつけの基本的な考え方
これらは飼い主さんが直接愛犬に働きかけるしつけの一環です。
しかし、もう1つ、飼い主さんが直接的に働きかけることのできない重要事項があります。
それが、社会化です。
社会化の不足は吠える、噛むなど犬の攻撃的な問題行動の大きな原因だと言われています。
●犬の社会化とは
犬が人の社会のなかで暮らす、ということ自体に慣れるということです。
家族との生活以外に、
家族以外の他人、他の犬、外から聞こえる物音、匂いなど、
様々な環境に恐怖心を抱かず、安心して人と共存する、それが社会化です。
●社会化はなぜ必要か?
想像してみてください。
家族以外の一切の人、物、環境に触れずに育った場合に、外に初めて出たときのことを。
人間も、仮にそのような生活のまま成長し、大人になってから初めて家の外に出たとき、果たしてどのように振る舞うでしょうか?
好奇心、解放された喜び・・・その前に、不安、恐怖心、警戒心のほうが大きくならないでしょうか?
犬も家庭以外の外界を一切知らずに育つと、外界に対して恐怖心・警戒心を強く抱きます。
それが、吠える、噛みつくなどの問題行動にも繋がってしまうのです。
もちろん、家族以外の外界に一切触れさせずに育てる、そういう飼い方もあるかもしれません。
それがその子にとって社会そのものであるならば、それ以上の社会化は必要ないかもしれません。
病気をしても一切病院にも連れて行かない、ということであれば・・・。
しかし、それでも予防注射には絶対行く必要があるのですけれどもね。
散歩、旅行、ドライブ、ドッグラン・・・などなど飼い主さんと一緒におでかけして、一緒に楽しむ。
病気の疑いがあればすぐに係りつけの獣医さんに診てもらう。
愛犬にとっても飼い主さんにとっても、そんな愛犬生活を送りたいものですね。
●社会化に最適な時期
社会化そのものは、子犬段階だけでなく、成犬になってからでもできると思います。
しかし、人間でもそうですが、社会化するにあたって最適な時期というのはあります。
人間も犬も、大人になってからの社会化には、時間を要するのです。
子犬の社会化に最適な時期、および、大人になりきる前の比較的社会化しやすい時期というのは、次の2つと言われています。
社会化期(生後4週間~13週間)
この時期、子犬は母犬の離乳時期を過ぎるとともに、外の刺激に影響を受けるようになります。
外の刺激に対して、恐怖心・警戒心よりも好奇心のほうが上回るため、この時期に触れることができた様々な刺激に簡単に慣れることができ、一生それが定着すると言われています。社会化するには最適の時期です。
若齢期(生後13週間~12か月間。生後半年までという人もいます)
社会化期を過ぎても、犬は生後1年間は精神的に成長し続けます。
初めての出来事には警戒心や恐怖心を抱きますが、この成長期に今後犬が一生涯出会うだろう刺激を一通り経験させることで、慣れさせてしまうことができると言われています。
このように、犬は生後1年間がその精神的成長とともに、社会化するうえで大事な時期です。
この時期を逃さず、積極的に外の刺激に触れさせましょう。
●社会化の方法
社会化期(生後4週間~13週間)
この時期は、一般的には母犬と兄弟犬とともに過ごすことで、犬同士の会話を学ぶと言われています。
遊びすぎて母犬に怒られたり、兄弟犬を噛みあいをすることで、どれくらいの強さ噛めば痛いのか、などなども学ぶ重要な時期です。
また、人や物音、その他の動物など、目、耳、鼻で感じるものに好奇心を抱きますので、できるだけ、様々な環境に慣れさせるのがよいでしょう。
社会化期と子犬の選び方
しかしながら、実際、子犬は8週間を過ぎると母犬や兄弟犬から離され、ペットショップで売られるというのが通常です。
ペットショップでも、他の犬と触れ合ったり、店員さんに散歩に連れていってもらったりしてくれるショップがありますので、そういうショップで子犬を選ぶのも1つの方法と思います。
あるいは、ブリーダーさんのところへ直接見に行って、育っている環境を確認させてもらい、気に入った子を決めてしまう、という方法もあります。
我が家では、育てた7匹のうち、4匹目のトイプードルと7匹目のミニチュアダックスについては直接ブリーダーさんのところに行って選びました。ショップと違うところは、生後1か月程度でも選定でき、その後、3か月目で引き取るまでの間も、引き続きブリーダーさんのところで育ててもらえることです。名前も先に決めてしまえば、早くに呼びかけに応じてくれるようになります。
若齢期(生後13週間~12か月間)
実際、家庭に迎えた頃には、この若齢期に入っているかと思います。
社会化期を過ぎていますが、特に最初の半年に焦らず、いろいろ経験させれば、すごく社会になじんだ子に育てることができます。
だからといって、いきなり家庭に連れて帰ってきてから社会化、と意識する必要はありません。まずは、我が家に慣れさせることです。最初は静かな部屋でケージに入れて、トイレのしつけをしながら、我が家に慣れてもらいましょう。名前もつけて、呼びかけとアイコンタクトを繰り返し、トイレを根気よくしつけることが大事です。
→参考記事:犬のトイレのしつけ方法 2つの基本的なこと及び注意点
連れて帰ってきて、2週間目くらいには、名前も覚え、アイコンタクトもできるようになっているでしょう。
トイレも徐々に覚え始めているところでしょう。
そのように家庭環境に慣れてくれば、抱っこしながらでも、外の環境に連れ出しましょう。
外の空気、匂い、音、家族以外の人、他の犬を見る、鳴き声を聞く・・・などなど。
その後も家の中での、さまざまな課題のトレーニング(おすわり、お手、ふせ、待てなど・・)とは並行して、できるだけ外に連れ出すことです。ワクチンの接種も終われば、他の犬に触れさせてもいいでしょう。
でも、いきなりドッグランは危険です。初めての他の犬は、見るだけ、からスタートしましょう。
その子が他の犬を見ても慣れて、を怖がらないようになるまでは、リードもしていない他の犬がいるドッグランはやめておくことです。
ドライブに連れていったり、散歩に行ったり、お医者さんに連れて行ったり、できればパピー教室があれば参加をお勧めします。
●我が家の愛犬たちの社会化
我が家でで育った7匹の愛犬たちは、特に『社会化』ということを意識して育てたわけではなかったのですが、多頭飼いの結果として、その子によっては様々な社会化を経験したことになるかと思います。
最初のダックス2匹は、初めての子で何かと不安や疑問点があったので、医者に連れていくことが多かったと思います。
医者に行けば待合室でいろいろな人、犬、猫などに会うことができます。
慣れない最初のころは、他の犬を見るたびに吠える子たちでしたが、何度も連れていくうちに自然に収まりました。
この2匹のダックスとは、最初の半年で、ドライブに頻繁に行ったり、犬をフロアを歩かせることのできるショッピングセンターに行ったり、ペットショップのフリーフロアで他の犬と遊んだり、様々な外出をしました。
それでも、1匹目のダックス(♂)は社交的になりましたが、2匹目のダックス(♀)は犬嫌いで、他の犬がやってくると、悲壮な顔をして私の膝に飛び乗る子でした。今もそうです。
ドッグランでも私と一緒には走り回ったりボール遊びをしますが、私が休憩に座るとどこにも行かずじっとしています。
3匹目のトイプードル(♀)は、物覚えがよかったので、もっといろいろ覚えてほしくてパピー教室に行きました。
パピー教室でもなんでも先に他の犬よりもできることが多く、人気者でした。
高島屋などのデパートにも一緒に買い物をするほどになりました。抱っこされていても、店員さんに触られても、嬉しそうな顔をしながら、一切動かない、人形みたい、と言われたものです。
あまりに社交的なので、ドッグランでは他の家庭にお邪魔して可愛がってもらい、帰って来ないこともしばしばです。
4匹目のトイプードル(♀)はトイレの覚えが悪かったので、できのよかった3匹目の反動でしょうか、最初の半年はあまり外に連れて行きませんでした。そのせいか、今も、無駄吠えが多い子です。無駄吠え以外は、私の言うことを一番聞く、すごくお利口さんなんですけどね。
5匹目以降は、すでに我が家に来たときから、先住犬の洗礼を受けることで、無理やり社会化が進みました。ドッグランにも先住犬たちと一緒に、比較的早く行くことにもなりました。

たくさんのわんこがいますので、車は必須です。どの子も、最初の2回は乗り物酔いをしまいしたが、3回目以降になるとそれもなくなり、車のキーを見せたとたんにドライブだ~、と外へ飛び出していく子たちです。
●まとめ
子犬を飼ったら、ぜひ、いろいろと経験をさせてあげましょう。
普段の生活は飼い主のペースに犬に合わさせる・・それがしつけの基本原則と思いますが、社会化は、その子に経験させることを中心に考える、という積極性が大事と思います。
人間と同じです。社会化できた子は、きっと、人間社会でストレスなく過ごすことができます。
それはその子にとっても飼い主さんにとっても、最大の幸せではないでしょうか。



