子犬の時は可愛いからと、ついつい甘噛みを許すと・・・
とんでもないことになるかもしれません。
子犬の甘噛みや噛みつきによる破壊行動を放置すると、例え犬が攻撃的でなく遊んでいるつもりでも人や物を傷つけてしまう重大な事故のものとなります。
ここでは、子犬の噛みつき行動について、しつけていく方法をまとめてみました。

目次
●子犬が噛むのはなぜ?
(1)甘噛みの場合(遊びの延長で人の手やモノを噛む)
次の2点が考えられます
社会化期の学習不足
子犬は、社会化期(生後4週間~13週間)の時期に、母犬や兄弟犬と過ごすことで犬同士の会話の仕方を学びます。
このとき、どの程度の強さで噛むと痛いか、ということも学びます。
この社会化期になんらかの原因でこの経験をしていないと、甘噛みにつながると考えられます。
歯の生え変わり時期によるもの
乳歯が永久歯に生え変わる時期(生後4~7ヵ月)に生え変わり促進のため噛みたくなります。
(2)威嚇して噛む
例えば威嚇して人の手を噛む。この場合、人間の手に何らかの嫌悪感を抱いているものと思われます。
嫌悪感を抱く経験(手でたたかれたなど)、あるいは、見慣れていないことによる恐怖心が原因です。
(3)破壊行動
社会化期に学習していても、初めて触れたものへの好奇心が発端で、噛んで破壊する癖がついてしまう。
衣服や毛布を噛んでボロボロにしたり、トイレシートがボロボロになったり、
と放置すると電気コードなどを噛んで事故にもつながりかねません。
●子犬の噛みつきをしつけ直そう
それぞれ、原因別に対処が必要です。
(1)甘噛みの場合(遊びの延長で人の手やモノを噛む)
社会化期の学習不足の場合
噛むと痛い、と学習させることです。
社会化期(生後4週間~13週間)を過ぎていても、生後半年以内であれば比較的簡単に学習できますが、
生後1年を超えると、教えるのにかなり根気が必要となります。
1番良い方法は、兄弟犬や先住犬など、他の犬と遊ばせ学習させることですが、
なかなかそのような環境がない場合は、人間が教えるしかありません。
学習パターン1:遊ぶ→人を噛む→遊びをやめて無視する(おもちゃも取り上げる)
そして、しばらくして大人しくなったら、おすわりをさせてご褒美を与える
このパターン1が基本です。
噛むと楽しくなくなる、ということを学習することで、噛まなくなっていくでしょう。
これは、痛みがあろうとなかろうと、歯が手に当たったらダメだということを覚えさせます。
ただ、この学習パターン1の問題点は、犬が無視されることをなんとも思わなかったり、
無視される理由が噛んだことにあることを理解しない場合は効果が出ないということです。
犬は1.3秒で前の行動を忘れると言われています。
噛んだ=無視される理由 とはなかなか理解してくれないかもしれません。
そこで、
パターン2:遊ぶ→噛む→『ダメ』など決めた𠮟りの声かけ→遊びをやめて無視する
パターン3:遊ぶ→噛む→『ダメ』など決めた𠮟りの声かけ→お仕置き場所(ケージなど)に閉じ込め
と『𠮟る』声かけを噛んだ瞬間に発動させて、噛んだことが理由であることを強く条件付けすることが必要です。
パターン3はさらにお仕置き場所に閉じ込める、というバリエーションを加えて、噛むと嫌なことが起こることを強く理解させます。
この場合も、必ず最後には、大人しくなったらおすわりをさせてご褒美をあげる、を忘れないようにしましょう。
噛むとすぐにおすわりしてご褒美、としてしまうと、
噛むとご褒美がもらえる、
と勘違いする可能性がありますので、ご褒美は必ず一呼吸置くようにしましょう。
犬を『𠮟る』ことについては以下の記事も参考にしてください。
参考記事:犬のしつけ 実は叱り方が一番難しい?
あと、最後の学習パターンとして、
パターン4:遊ぶ→噛む→『ダメ』と同時にパシっと鼻っつらをたたく→お仕置き場所(ケージなど)に閉じ込め
もありますがお勧めはできません。
この方法は、噛む行為が強い子に対して、噛んだ瞬間に愛犬にショックを与えて興奮を解く、というのが狙いです。
しかしながら、この方法は、うまくいく子にはすごく効果的なのですが、
恐怖だと捉えてしまう子の場合は逆効果になり手が付けられなくなる可能性があります。
元々臆病な性格だったり、まだ噛む行為が悪いことだと理解を全くしていなかったり、
そもそも飼い主さんと愛犬との間にの主従関係=信頼関係ができていない場合は、逆効果になります。
恐怖感や抵抗感が出て、手を見ると余計に噛むようになってしまう危険があるのです。
そこで、
パターン5:遊ぶ→噛む→『ダメ』と同時にパシっと大きな嫌な音をさせる→お仕置き場所(ケージなど)に閉じ込め
パシッと痛みを与えるのではなく、『ダメ』の声かけと同時に大きな音を出すことでショックを与えて興奮を解き、
噛むと嫌なことが起こる、と強く条件づけします。大きな音は、机をたたく、音の出るものを投げるなど、なんでもよいと思います。
歯の生え変わり時期による場合
噛んで欲しくないものは取り上げ、噛んでもよいもので愛犬の喜ぶものを与えましょう。
ガムやひずめのおやつなど、噛んでもなかなか減らないものや、コングなどでもよいでしょう。
また、噛んでほしくないものは、犬の届かないところに置くことです。
どうしても届く場所にある場合は、ビターアップルを塗る、という手法もあります。
(2)威嚇して噛む場合
なぜ噛むのか、どのような場合に噛むのか、をよく観察して、
噛む対象に対する嫌悪感・恐怖心を取り除く訓練が必要です。
噛む対象は怖くないよ、と慣れさせる訓練になります。
怖いものではなく、楽しいもの・嬉しいもの、に置き換えるのが効果的です。
例えば、
人の手を見ると噛む = 人の手が恐怖 → 人の手は怖くない、と慣れさせる訓練をします。
1.手のひらを地面の上に置いて、犬と手のひらの間におやつを置く。
2.最初は手のひらがあってもおやつを食べる距離にしましょう。
3.おやつを食べたら、手のひらとおやつの距離を徐々に短くしていきます。
4.最後は、手のひらからおやつを食べさせます。
5.手のひらから食べれるようになったら、おやつを持って手に動きを加え、動く手に慣れさせます
(左右に動かす。前後に動かす。動かすスピード変えてみる)
6.動かす手に慣れたら、動かしながら頭をなでてからおやつをあげる。
7.なでる場所を変えていく(頭→背中→首→耳→足→あご→鼻周り→腰→しっぽ)
このように焦らず、徐々に慣らしていくのです。
日数がかかっても、何度も怖がったところで一旦やめて、次の日、また最初から始めて徐々に慣らしていきます。
くれぐれも、噛まれても騒がず、黙って無視です。
騒ぐと、より興奮して噛むようになってしまいます。
𠮟るのもよくありません。
威嚇して噛む犬に叱る行為は、より嫌悪感を増長させ、ひどくなる可能性が高くなります。
叩いて𠮟るのは最悪です。恐怖を増長させることになります。

(3)破壊行動の場合
基本的には、(1)甘噛みの場合の、歯の生え変わり時期の場合と対処は同じです。
ただし、歯の生え変わり時期の場合は期間限定かもしれませんが、
そうではない破壊行動は、より強くしつけ直す必要があります。
破壊行動に快感を覚えている場合が多いからです。
一旦好きになった破壊行動、例えばペットシーツをボロボロにする、という場合は、
ペットシーツを手の届かないところに置く、というわけにはいきませんね。
この場合、ペットシーツは噛んではいけないもの、だと理解させる必要があります。
これは、甘噛みで人の手を噛んでしまうのを直すのと同じです。
ペットシーツを噛む→『ダメ』など決めた𠮟りの声かけをしてペットシーツを取り上げる→お仕置き場所(ケージなど)に閉じ込め
おとなしくなったら、おすわりをさせてご褒美をあげる
これの繰り返しです。してはいけない行為=嫌なことがある を学習させるのです。
これもたたく、などの暴力は絶対にしないようにしましょう。
また、破壊行為をしている最中を見つけて𠮟ることが肝心です。
あとから見つけて𠮟ると、なぜ叱られているのかわからず、飼い主を信用しなくなります。
●我が家の場合
我が家では、幸い、多頭飼いということ(現在6匹のわんこがいます)もあって、社会化不足によって噛む、ということは自然になくなりました。
子犬が来ると、先住犬がしつけてくれるのです。
今はたまに喧嘩での噛み合いはありますが、お互いに加減はしているようです。
ただ、破壊行為というのは個々にありました。
4匹目にやってきたトイプードルの女の子は、ケージの中でペットシーツをくしゃくしゃにしてしまう、ということが度々ありました。
トイレのしつけの覚えも悪く、初期の2ヵ月間をほとんどケージの中で過ごしましたので、ケージに閉じ込めておしおき、ということできませんでした。
しかし、ようやくトイレを覚えてくれて、ケージの外で過ごせるようになった後は、ケージでおしおき、を使うことで徐々に破壊癖はなくなってくれました。
7匹目のシュナウザーの女の子は器用な子で、布団や衣服のほつれや糸の出っ張りを見つけると、口で加えて糸を引っ張り出して、キレイに解体してしまうということが大好きでした。
布団シーツのチャックの部分がよくこれにやられて、チャックをシーツから外してしまっていることが度々。
何度か現場を押さえて、ガムのおやつに差し替える、ということを繰り返すといつの間にかしなくなりました。

●まとめ
犬の噛み癖は、子犬の間にしつけ直さないと大変なことになりますが、子犬の間でも、さまざまな原因と噛み癖があります。
よく愛犬を観察して、なぜ噛んでいるのか、を見つけて、直してあげることが大切なのだと思います。
成長すると、噛み癖を直すのは大変です。
より攻撃的になり、噛む力も強くなります。殺傷事故にもなりかねません。
そんな不幸なことにならないように、噛み癖を直してあげることは、飼い主さんの義務なのだと思います。



